株式会社 バイオ・シータ 食品細菌迅速自動検査システム DOX (DOX-60F DOX-30F) 一般生菌/大腸菌(群)を迅速に測定

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培地学シリーズ18

 

 大川微生物培地研究所 所長 大川三郎

大川先生の略歴

https://www.facebook.com/ohkawa.saburo

 

 レシチン・ポリソルベート80添加SCD寒天培地
           ―表面付着菌の生菌数測定


建物内(天井、壁、床など)設備・機器の表面、人体の表面、衣類などあらゆるものが、付着の対象となる。付着した場所に適度な水分と栄養素が存在すれば菌はそこでコロニーを形成する。

表面付着菌を測定する方法としてはスタンプアガー法やふき取り試験法などがある。食品の安全性や健全性を評価するうえで、食品や製造環境の微生物検査は必要不可欠である。ふき取り試験法100cm² (10cm×10cm)など一定面積を綿棒でふき取って一定に希釈し、培地と混釈して細菌数を測定する方法である、混釈法が一般的である。スタンプアガー法検査する物体の表面に培地を接触させて微生物を培地表面に移行させ、発育した菌のコロニー(集落)数を計測する方法である。

GMP微生物試験法には面積25cm² のロダックプレートとフードスタンプが記載されている。ロダックプレートは食品製造環境における細菌汚染状態や医薬品製造環境や医療環境における細菌汚染状態を把握するのに使用する。これらの検査に使用する培地は日本薬局法・ヨーロッパ薬局法・米国薬局法の3局法ともにレシチン・ポリソルべート80添加ソイビーン・ダイジェスト・寒天培地(SCD)が標準培地となっている。


レシチン・ポリソルベート添加SCD寒天培地


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カゼイン膵消化ペプトン・酵母エキスは細菌が発育するための栄養源となり、レシチンは第4アンモニウム化合物を取り込み、ポリソルベート80はフェノール系消毒薬、ヘキサクロロフェン及びホルマリンを中和・無毒化する。またレシチンとの共同作用でエタノールを中和・無毒化する。したがって細菌に有害な消毒薬を無毒化できるために、消毒薬の効果を受けることなく細菌が本培地で発育できる。さらに表面部サンプリングならび洗浄の方法および計画の確立、監視に勧められ、同一の場所での消毒“前・後”のサンプルを検査することにより、環境衛生における洗浄方法の評価に有用である。

 

組成(精製水1000mlに対して)

 

カゼイン膵消化ペプトン 5.0g
大豆パパイン消化ペプトン 2.5g
塩化ナトリウム 5g
レシチン 0.7g
ポリソルベート80 5.0g
寒天 15g

pH 7.2±0.2

 

 

1.原理

 

 

カゼイン膵消化ペプトン

細菌が発育するために必要な栄養素は①炭素原②窒素原である。このペプトンは細菌の窒素原である。細菌はタンパク質を分解する能力がないので、タンパク質をポリペプチド、ペプチドの型まで消化して培地に添加する必要がある。このようにタンパク質を消化、分解した物質をペプトンと言う。ペプトンの種類としてはカゼインペプトン・大豆ペプトン・獣肉ペプトン・心筋ペプトンおよびゼラチンペプトンがある。カゼインペプトンはカゼインを豚の膵臓のパンクレアチンを用いて消化したペプトンである。経済的に優れているために、一般的には培地の基礎ペプトンとして用いられる。

大豆パパイン消化ペプトン

一般的な細菌が発育するために必須のペプトンではない。カゼインペプトンの補助栄養剤として使用する。大豆ペプトンは不足した栄養分を補うことで細菌の発育を促進する。細菌の酵素作用を促進する作用(補酵素として)はビタミン類が豊富に含まれている。さらに大豆ペプトンに含まれている植物性炭水化物により細菌の発育を高めることが可能となる。

塩化ナトリウム

菌体内外の浸透圧の維持するために添加されている。細胞の分裂において細胞膜の増大と細胞壁の合成が重要であるが、培養初期段階ではそのバランスが崩れて細胞壁合成が不完全な状態で細胞分裂がおこることがある。この時にできたプロトプラストは低張液では簡単に溶菌してしまうが、塩化ナトリウムを添加することで溶菌を防ぐことができる。

レシチン

添加の目的は第四アンモニウム化合物とポリソルべート80との共同作用によるエタノールの無毒化である。→消毒薬の無毒化

代表的なリン脂質の一種で、ホスファチジン酸のリン酸基にコリンがエステル結合したもの。科学名はホスファチジルコリン。動植物中で量的にもっとも多いリン脂質で、脳、神経、血球、卵黄、豆胚乳(はいにゅう)などの組織に多く含まれるが、細菌にはほとんどみいだされない。

レシチンを構成する脂肪酸のうち主要なものは、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸などである。通常、グリセリンの1位に飽和脂肪酸、2位に不飽和脂肪酸を含む構造を有し、生体膜や血清リポタンパク質の構成成分として重要である。2位のアラキドン酸はエイコサノイド(プロスタグランジンなど)の前駆体である。大豆に含まれる1、2位ともリノール酸からなるレシチンは、血清コレステロール代謝改善効果を有する。肺胞膜中の1、2位ともパルミチン酸からなるレシチンは、界面活性能が強く、肺胞の虚脱(癒着)を防止する。一般に両性イオン界面活性をもつので、大豆から多量に得られるレシチンは、食品や薬品の乳化剤に利用される。

 

ポリソルべート80

添加の目的はフェノール系消毒薬、ヘキサクロロフェン及びホルマリンを中和・無毒化する。またレシチンとの共同作用でエタノールを中和・無毒化する。→消毒薬の無毒化

非イオン性界面活性剤。ポリオキシエチレン(20)ソルビタンオレイン酸エステル。無水ソルビトールの水酸基の1部をオレイン酸でエステル化したもののポリオキシエチレンエーテル。モノオレイン酸ソルビタン1モルに約20モルの酸化エチレン基がエーテル結合している。水溶性で安全性の高い乳化剤として軟膏剤(クリーム)に用いられるほか、油溶性ビタミンの可溶化剤として注射剤やドリンク剤にも用いられている。

寒天

寒天は培地の固形化剤である。原料は海藻であるテングサ、オゴノリである。培地用としてはオゴノリが利用されいる。主成分はアガロースで糖が直鎖状につながっており、細菌には分解されにくい構造になっている。寒天の内部に水分子を内包しやすく、多量の水を吸収してスポンジ状の構造を形成する。水分を蓄えることができ、栄養分をその中に保持しておける。そのため、微生物の培地に適する。寒天培地を加熱していくと解ける温度を融点、また解けた寒天が固まる温度を凝固点といいますが、寒天は融点が85~93℃、凝固点が33~45℃である。これも寒天に混ぜる成分により変動する。良い培地か否かは寒天の品質で決まる。品質とは透明度、ゼリー強度、粘度、保水力が優れていることである。

 

2.使用法 

使用前のRODACプレートの表面が乾燥しているのかを確認後使用する。

①    RODACプレートの上皿をとり、平坦な表面をあてて、徐々に強く押し付ける。

②    上皿をかぶせる。

③    平板は寒天を上にして、32±2℃、24-48時間培養する。

④    発育コロニー数をカウントする。

*必要な場合はプレートに発育した菌種の同定試験を実施する。

*真菌類の場合は96時間まで培養する。

 

3.培地の限界

1.ハロゲン化合物系消毒薬は中和できない。

ハロゲン化合物としてはノロウイルスに効果のある次亜塩素酸ナトリウムが含まれるが、レシチン・ポリソルベート80によって不活化されない。これらの消毒剤を含むサンプルの検査する場合は、チオ硫酸ナトリウムを添加したSCD寒天培地を使用する必要がある。

<ヨウ素系消毒薬の中和についてはL-ヒスチジン添加SCD寒天培地が必要である。>

2.汚染度が高い場所の試験には適さない。

発育コロニーが50以上になるとコロニー数はカウントできない。また、孤立集落の形成が困難であるために、同定検査が困難である。適当なコロニーになるように希釈する必要がある。

 

3.プロテウス等の遊走菌を含んだサンプルの検査には不適である。

プロテウス等の遊走菌によって培地全体が覆われるために、正しいコロニー数カウントができない。グラム陰性菌を阻止する培地を使用するか?または遊走を阻止剤の添加された培地を使用する必要がある。

4)VCN状態の細菌は発育できない。

損傷菌は発育不良または発育できない。培養不能状態で生息している細菌は本培地では発育できない。

 

参考文献

  1. Richardson(ed.)1985.Standard method for the examination of dairy products,15th ed..APHA.Washington,D.C
  2. Williams(ed.)1984.Official method of analysis of the AOAC.14th ed.AOAC,

Arlington.Va

3. United States Pharmacopoeia USA 33.

4. Japanese Pharmacopoeia JP 15.

5. European Pharmacopoeia EP6. 

6. Hall and Hartnett,1964 Public Health Rep.79:1021

7. Vesiley and Michaeleison,1964. Health.Lab.Sci.1:117

8. Pryor and McDuff.1969.Exec.Housekeeper.March.

9. Dell.1979.Pharm.Technol.3:47

10. Quison,Gibby and Forter,1946;Am.J.Pharm.118:274

11. Eriandson and Lawrence.1953,Science 118:80

12. 坂崎利一:新 細菌培地学講座 近代出版 1988

 

 

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