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  第16話「死者3名の原因食品はアイスクリーム」

 

 

 北海道大学名誉教授・日本食品分析センター顧問 一色賢司

一色先生の略歴

http://researchmap.jp/isshiki-kenji/

 

 

米国でアイスクリームを食べた10名の人達が、リステリア・モノサイトゲネス(Lm)食中毒を本年3月から発症していました。図1のように残存品からLmが検出されています。製造したのは、100年を超える歴史を持つ米国の大手食品会社でした。食中毒患者は図2のように、4つの州から報告されています。カンサス州からは3名が死亡したと報告されています。

 

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工場は閉鎖され、全ての製品は回収リコールされています。しかし、未だに、何処で、なぜLmがアイスクリームに混入したのか判明していません。当該食品メーカーは、この問題の後処理のため、全従業員数の37%に相当する1450名の従業員のレイオフ(集団解雇)を実施しています。

米国では4月には、別の大手のアイスクリーム会社の製品からもLmが検出され、リコールされ、販売店も閉鎖されています。食品業界では、なぜ冷凍食品のアイスクリームにLmが混入したのか原因が分からないことから、Lm対策について困惑が続いています。米国ではLmによる食中毒事故は、全食中毒事故の3番目に多い原因となっています。これまでに冷凍された状態で流通にされているアイスクリームが媒介したLmが食中毒を起こしたり、他社の製品からもLmが検出されたりしたことありませんでした。

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我が国では、なぜかLm食中毒は有名ではありません。チーズによる食中毒の1例だけが報告されていますが、Lmは第6話や第12話などで紹介しましたように先進国を中心に、各種食品を媒介として死者を伴う食中毒を起こしています。流産を誘発させることから、妊娠の可能性のある女性には、特に要注意の食中毒菌です。

Lmは土壌に一般的に存在している細菌で、動物や人など介して汚染が広がることも知られています。Lmは、一旦、食品工場内に汚染が広がるとバイオフィルムを作る性質(第12話)などにより、除菌することが非常に困難であるという認識が、次第に広がっています。特に、アイスクリームのように食前に加熱されることもなくそのまま食べられる食品(RTE, Ready to eat)は要注意です。それらの食品工場等のLm対策には、“Seek and Destroy Process”(探し出して潰す工程)を組み込むことが、もはや必要となったとの意見もあります。

Lmは他の食中毒菌とは異なり、0℃近くでも増殖する特徴を有しています。冷凍にも耐える性質を持っていると考えられます。アイスクリームのような冷凍食品の場合にでも汚染が生じた状態で流通させると問題を起こしてしまいます。今回の食中毒でも、恐らく冷凍が行われる前の液状のアイスクリームの段階で汚染が生じていたものと思われます。工場内にLmの隠れ家ができていたのかも分かりません。

アイスクリームは-18℃以下の適切な温度で保存されれば細菌等の増殖も起こりませんが、温度管理に失敗すると変質し品質が元に戻らなくなります。冷凍条件下での微生物の挙動について考察してみましょう。

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冷蔵条件下でも増殖可能な微生物は沢山います。好冷細菌の中には、20℃程度になると死滅するものもいます。冷凍されると、死滅する微生物もいますが、微生物の生理活性が休止状態となり、温度上昇し解凍されると再び増殖を始めるものもいます。同じ菌株でも冷凍速度や温度、解凍状況に応じて死滅率や損傷率に違いが生じます。

細菌は-1~-6℃で増殖しなくなると考えられますが、もっと低温でも増殖する酵母や細菌が報告されているので-10~-12℃が微生物の増殖を完全に阻止できる温度と考えられます。胞子を作らない微生物の菌株を長期保存する時には、グリセリンなどの凍結保護剤を加えてー80℃くらいの超低温で保存します。凍結乾燥することもあります。

微生物の温度を下げると膜の不飽和脂肪酸の比率が増加したり、脂肪酸が短鎖化したりします。低温条件下でも膜の流動性を保持しようとしていると考えられます。冷凍と解凍によりPseudomonasVibrioは、減少し易いのに対して、Flavobacterium, Micrococcus, Staphylococcusなどは、ほとんど減少しません。胞子も冷凍や解凍によって死滅することはありません。微生物の凍結による生死状況は、種類によって異なりますが、同じ種類でも冷却速度や到達温度、さらには解凍状況によって死滅率が異なります。微生物は凍結貯蔵中にも死滅し、一般に栄養細胞では-20℃以上に置かれると生残率が次第に低下します。-1~-3℃で生存率の低下が大きくなります。

食中毒菌のうち、冷凍によってもっとも死滅しやすいのは腸炎ビブリオです。冷凍下での生死は種々の条件によって異なり、腸炎ビプリオのように凍結に弱い菌でも、冷凍による殺滅は期待しない方が良いと思われます。Lmは胞子を作りませんので、加熱殺菌が有効です。“Seek and Destroy Process”(探し出して潰す工程)には、簡易・迅速検査法(第7話)と見えない清潔(第9話)の組み込みが必要です。熱い水蒸気を利用する掃除道具はLm退治には効果的だと思われます。食品取扱い施設でのLmとの共存は無理です。まず、図3のように「敵を知り、己を知る」ことから始めませんか。

 

参考文献

1) CDC, Multistate Outbreak of Listeriosis Linked to Blue Bell Creameries Products, May 7, 2015, http://www.cdc.gov/listeria/outbreaks/ice-cream-03-15/

2) T.J.V.Malley, et al, Seek and Destroy Process: Listeria monocytogenes Process

Controls in the Ready-to-Eat Meat and Poultry Industry, J.Food Protection,78,436–445(2015)

3)食品安全委員会:リステリアによる食中毒について、

http://www.fsc.go.jp/sonota/listeria.pdf

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