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  第29話「小麦と微生物」

 

 

 北海道大学名誉教授・日本食品分析センター顧問 一色賢司

一色先生の略歴

http://researchmap.jp/isshiki-kenji/

 

小麦は人類にとって重要な食用作物の1つです。小麦も微生物も生物です。小麦に対して病害性を示す微生物もいます。小麦には病害性を示さずに人間に病害性を示したり、毒素を産生したりする微生物もいます。第14話のパンのように、小麦と酵母が人間に恩恵をもたらせてくれる組み合わせもあります。今回は、小麦と赤カビ、小麦と腸管出血性大腸菌に関するお話をしましょう。

 

1)小麦と赤カビ

図1に赤カビに感染している小麦の写真を示しています。赤カビの小麦に対する病害性が強い場合は、小麦が生育できなくなりますが、病害性が弱く小麦と共存して生きている場合もあります。図の左上のように小麦が実っても赤カビが侵入している場合があります。右側の写真のように、健全に見える小麦をカビ用の培地に乗せてしばらくすると、赤カビがいることが分かります。

 

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カビの代謝物が人間や動物に毒性を示すとマイコトキシンと呼ばれます。小麦などにフザリウム属菌のカビが感染することが、世界各地で問題になっています。Fusarium graminearum(完全世代Gibberella zeae)等が小麦でもマイコトキシンを産生することがあります。我が国でも食中毒を起こしたことがあります。F.graminearumが栽培期間中に感染し、収穫後の小麦にマイコトキシンが残留してしまうことがあります。我が国では、小麦のデオキシニバレノール(DON)について1.1mg/kgという暫定基準値が設定されています。

図2は英国で40年前から食べられているカビ由来蛋白質の説明です。現在では、米国でも食べられています。牛肉1kgを得るのに、餌を10kg以上与える必要があります。鶏肉でも2~4kgの餌が必要です。図のように小麦を使って赤カビをタンク内で培養すると効率良く蛋白質を得ることができます。小麦2kgからQuornと呼ばれている蛋白食品1kgを得ることができます。鶏肉に近い味で、料理素材として用いられています。

 

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微生物を食料資源とする試みは、将来の食料確保のためにも続けるべきです。昆虫も食料資源として活用されています。我が国では、発酵食品を沢山食べてきました。しかし、酵母を培養して食べる試みは「石油蛋白」というあだ名を付けられて、消滅してしまいました。英国で食べ続けられているカビはF.graminearumに分類されていたカビです。現在では、F.venenatumに再分類されています。マイコトキシンを作る赤カビの近縁カビです。安全な食料の安定調達のためには、科学・技術の積極的な活用が大切ですね。

 

2) 小麦と腸管出血性大腸菌

米国では、腸管出血性大腸菌O121食中毒が発生し、小麦粉が共通原因食であることが判明し、製品回収リコールが行われています。当該製粉会社の3つのブランドの製品回収が行われていましたが、ミックス粉やその他の2次製品にも回収範囲が広がっています。購入後に長年、レストランや家庭で貯蔵されている小麦粉の場合もあります。

4,530トンの小麦粉を自主的に回収した後に、新たなO121食中毒の発生報告を受けて、小麦粉の回収範囲は、さらに拡大されています。小麦粉は、長期間保管されて使用されることもあることから、汚染され、食中毒を引き起こす可能性のある小麦粉が、今後、食用にされることも考えられます。図3のようO121食中毒は発生しています。小麦粉は21の州で少なくとも42人の食中毒と関係があるとされています。米国食品医薬品局FDAは、3つの州の患者の使った後の小麦粉からO121を検出し、患者由来の菌株と同一であることを確認しています 。

 

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当該製粉会社のHPでは、「昨年の秋、小麦粉製品を使った未加熱のドウ生地や油料理の衣(バッター)を食べたことによる食中毒が発生しました。今回、新たに関連を疑われる食中毒が発生したことから製品回収を拡張させました」とされています。

米国では、家庭でも焼きたてのクッキーやビスケットが食べられるように小麦粉を使った生地が売られています。ケーキ・パン・ピザ・トルティーヤも同様です。冷凍品もあります。焼かずに食べてしまう人もいます。生卵も配合されることもあり、非加熱で食べると食中毒が起こることが心配されていました。今回、O121食中毒の原因調査において、患者の食べ残した小麦粉から、患者由来の原因菌と一致するO121が検出されたことから、FDAは未加熱の生地を食べないように勧告しています。生地や衣の味見も避けるよう勧告しています。

FDAは生のまま生地を食べるだけではなく、小麦粉や生地に触ることによってO121に感染する可能性があることも指摘しています。小麦粉で作った粘土も要注意ですね。小麦を栽培する農場から、消費者の家庭までの衛生管理が必要ですね。水分を与えられた小麦粉は、O121等の増殖の場となります。不潔な環境に小麦粉を置かないことや、水分等を与えた場合には必ず加熱して食べることを実践することが必要です。小麦粉を使った場合の、後片付けにも注意を払いましょう。

 

参考文献:

1) 内閣府食品安全委員会:かび毒デオキシニバレノール(DON)とニバレノー ル(NIV)のリスク評価(2010)

https://www.fsc.go.jp/sonota/kikansi/26gou/26gou_1_8.pdf

http://www.fsc.go.jp/fsciis/evaluationDocument/ show/kya20101118001

2) Quorn: Sustainable Development Report 2015

http://www.quorn.co.uk/~/media/quorn/downloads/sustainability%20report%202015%20web.ashx

3)FDA: Raw Dough’s a Raw Deal and Could Make You Sick,2016年6月28日

http://www.fda.gov/ForConsumers/ConsumerUpdates/ucm508450.htm

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