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  第32話「HACCPの義務化について」

 

 

 北海道大学名誉教授・日本食品分析センター顧問 一色賢司

一色先生の略歴

http://researchmap.jp/isshiki-kenji/

 

 

食品の安全性を確保する手法の一つにHACCPがあります。あらかじめ各段階で発生する怖れのある病原微生物汚染等の危害分析(HA, Hazard Analysis )を行う手法です。その結果に基づいて、食品取り扱いのどの段階でどのような対策を講じればより安全な製品を得ることができるか検討し、特に管理を怠ると消費者に健康被害を及ぼすポイントを重要管理点(CCP, Critical Control Point )として決定します。CCPを連続的に監視し、必要な対策を実施することにより製品の安全を確保する手法です(図1)。厚生労働省は、HACCPの導入を食品取扱い事業者に義務化する方針を固めました。今回は,HACCPの導入の義務化についてお話しします。

 

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1)宇宙空間で食中毒発症?

HACCPは,米国において1960年代に開始された宇宙開発計画の一環として、宇宙食の微生物学的安全性確保のために開発されました。「宇宙空間で食中毒になったら、地球上よりも一層、困ってしまう。どうすれば地球を離れる飛行士に安全性の高い食品を提供できるか?」が解決すべき課題となりました。検討され、開発された食品の安全性確保の手法です。HACCPが開発されるまでは、図1の左のように、抜き取り検査に頼る管理手法が用いられていました。最終製品の検査よりも、食品の取り扱い工程を管理するプロセス管理の方が信頼性も高く、合理的です。

現在では、食品安全全般の管理手法に発展し、品質管理とも融合させて実施されている例も増えています。HACCPは国連のCodex委員会(第20話)で有効性が認められ、国際標準となっています。

 

2)HACCPは複合システム

HACCPは、単独で機能するものではなく,その適用に当たっては、図2のように安全で良質な原材料の使用および清潔で衛生的な環境を確保し、食品衛生のトレーニングを受けた人が作業に従事することが前提条件となります。農場での作業を適正に行うために目標を設定し、問題解消に努め、良い仕事が継続的に行えるように自主的に計画し、実行するものが適正農業規範(GAP, Good Agricultural Practice)です。食品の製造加工における衛生的環境整備や作業のための計画として適正製造規範(GMP, Good Manufacturing Practice)があります。

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HACCPシステムは、GAPとGMPではどうしても解決できない衛生上の問題を科学的根拠に基づいて確実に管理することを目的として開発されたシステムです。わが国では,これらの規範に示された内容を「一般的衛生管理プログラム」と称しており,従来から都道府県で定めている施設基準ならびに管理運営基準がこれに相当し,衛生規範に記載されている事項もこれに該当します。一般的衛生管理プログラムに無理があったり、無視されたりすれば,安全な食品を提供できない結果となってしまいます。

全ての食品は多かれ少なかれリスクを持つため、許容範囲へのリスクの低減が目標となります。特に、O157のように微量で感染が成立する危害要因は、生産農場から食卓まで、常にリスクを低減化する努力を実施すべきです。現実には、原材料の安全性については,その供給者が保証し,原材料の受け入れに当たっては品質保証を要求し,供給元に対して安全性の高い原材料を求めることになります。一般的衛生管理プログラムの事項を実行するための手順を文書化したものをSSOP(Sanitation Standard Operating Procedure:衛生標準作業手順書)と呼び,作業担当者,作業内容,実施頻度,実施状況の点検および記録の方法などを具体的に文書化したマニュアルを作成しておくことが必要です。

危害分析において、工程ごとに食品の安全性に害を与える可能性のある微生物、化学物質、異物を分析し、その対処方法を検討します。危害の発生防止上極めて重要な管理点について管理基準を設定します。それをどのように監視するのか、基準を外れたときの対処方法等をあらかじめ決めておき、各工程の作業は文書化し、監視等の結果も記録して HACCPプラン通りに製造されている証拠として残す方式です。

 

3)HACCPの重要性

食品の国際規格を策定しているCodex委員会は、「食品衛生の一般原則」およびその付属文書でHACCPの採用を勧告しています。表1に示す「HACCPプラン作成7原則12手順」による食品の安全性確保を勧告しています。世界貿易機構(WTO)はCodexの勧告に従って、加盟国にHACCPを導入することを求めています。

 

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HACCPを導入しない場合は、科学的で合理的な説明が要求されます。EUは一次生産者を除きHACCPを義務付け,アメリカでも水産食品,食肉及び食肉製品はすでに義務つけ,食品安全近代化法(FSMA)により,すべての事業者にHACCPの最も大事な部分であるハザード分析を義務づけています。わが国はHACCPを義務化していないので,内外無差別の原則により,輸出国に対しHACCPの実施を要求できません。HACCPによる衛生管理をしている事業者の製品は、EUや米国に優先的に行き,残った物がわが国に輸出されています。HACCPを実施していない事業者が製造した製品が,わが国に輸入されています。

先進国はもちろん,途上国であってもEUやアメリカの市場に参入するため,すでにHACCPの導入が進んでいます。自給率の低い我が国の食料事情を考えると,HACCPの導入は急がないと国際的な食糧調達に後手を引いてしまっている怖れがあります。特に,国際標準となっているHACCPを理解して,食品の衛生管理を行い,HACCP原則に基づいて説明できるようになる必要があります。我が国に伝わる「以心伝心」は通用しません。隠し事をしていると見なされます。何時でも見に来てくださいと言える,透明性の高い食品取り扱いを行うことが必要な時代です。

 

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厚労省の国際化検討会では、表2のようにHACCPの完全導入であるA案を採用しがたい場合は、HACCP原則を基礎として管理を簡易化したB案から導入し、次第にA案に切り替えても良いとの方針が示されています。食品安全に関して、HACCPに基づいた説明ができることが、要求されます。HACCPを導入しないと、科学的根拠を重視しない透明性の低い事業者とし見なされる可能性が高くなります。特に、広域あるいは国境を越えて最終製品を流通させる事業者は、HACCP導入の準備が必要です。

 

参考文献:

1)食品産業センター:一般的衛生管理徹底&HACCP 導入研修会資料(2015),

http://www.shokusan.or.jp/index.php?mo=topics&ac=Topics Detail& topics_id=712

2)厚生労働省:食品製造におけるHACCP入門のための手引書

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/haccp/index.html

3)Codex: 食品衛生の一般原則(和訳) http://n-shokuei.jp/eisei/ haccp_codex_doc.html

4)食品安全検定協会:テキスト・初級、中級、中央法規出版(2015)

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