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  第35話「WHO食品安全の10の事実」

 

 

 北海道大学名誉教授・日本食品分析センター顧問 一色賢司

一色先生の略歴

http://researchmap.jp/isshiki-kenji/

 

 

世界保健機関WHOは、食品安全の国際的な状況を調査して、10項目に取りまとめた報告書を公表しました(図1、表1)。我が国の食料自給率は、40%(カロリーベース)を下回っています。我が国のフードチェーンは、世界中に伸びています。次世代のためにも食品安全を大切にし、世界中の人々と一緒に食べてゆく覚悟を持つことが必要です。WHO食品安全の10の事実を紹介します。

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事実1: 食品を通じて200種類以上の病気が広がっている。

毎年、10人に1人は汚染された食品を食べることで病気になり、毎年42万人が死亡している。5歳以下の子供は特にリスクが高く、12万5千人もの幼い子供たちが、毎年食品媒介疾患で死亡している。適切な調理によって、ほとんどの食品媒体疾患は防ぐことができる。

 

事実2: 汚染された食品は、長期的な健康問題をもたらす可能性を持っている。

食品媒介疾患の最も一般的な症状は、腹痛、嘔吐および下痢である。重金属や自然毒によって汚染された食品も、ガンや神経障害を含む長期的な健康問題を引き起こすことがある。

 

事実3: 食品が媒介する病気に対して感受性の高い人々がいる。

汚染された食品による感染症は、貧困層や虚弱な健康状態の人々に、より重く影響を与え、重篤や死亡に至りやすいということがある。乳児、妊娠女性、病人及び高齢者にとって、食品媒介疾患の影響は多くの場合、より深刻なものとなり、死に至る可能性もある。

国際食品微生物規格委員会ICMSFは、表2のように食品安全上懸念される微生物ハザードを分類している。最も警戒すべきカテゴリーに腸管出血性大腸菌O157:H7とボツリヌスが分類されている。さらに、感受性集団はサルモネラ属菌、クロノバクターならびにリステリア・モノサイトゲネスが最も警戒すべき病原菌と分類されている。

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事実4: 食品が汚染される機会は多い。

現代の食品供給は複雑で、食品が消費者に届くまで、農場や漁場における生産、収穫、加工、製造、貯蔵、輸送及び流通を含む様々な段階を含む。

 

事実5: グローバル化によって、食品安全はより複雑化し、対策が不可欠になっている。

食品の生産や貿易のグローバル化は、フードチェーンをより複雑で長いものにし、緊急事態が発生した場合の原因調査と製品リコールを困難にしている。

 

事実6: 食品安全対策は多岐にわたる学際的なものである。

食品の安全性を向上させるには、多岐にわたる様々な専門家が一緒に協力し、可能な限りの最高の科学技術を利用する。公衆衛生、農業、教育及び貿易に関する様々な政府省庁や機関が、互いに協力し、コミュニケーションをとりながら、消費者団体を含めた市民社会と一緒に取り組む必要がある。

 

事実7: 食品汚染は、経済と社会にも影響する。

食品汚染は公衆衛生の問題を超えて、広範囲にわたり影響を与える。・先進国、発展途上国ともに、食料輸出、旅行産業、食品取扱業者の生活、そして経済発展に打撃を与える。

 

事実8: 病原体の中には薬物療法に耐性を持つものもある。

厚生物質や抗菌剤耐性は世界的保健上の懸念となっている。ヒトの治療での臨床的な使用に加えて、農業や畜水産における抗菌剤の過剰使用、誤使用は、抗菌剤耐性の出現や拡大につながる原因の一つである。動物における抗菌剤耐性のある病原菌は、食品を通じてヒトに感染するかもしれないのである。

 

事実9: 全ての人々に食品を安全に保つための役割がある。

食品の安全性確保は、政府、産業界、生産者、学界及び消費者の間で、責任を分かち合う必要があり、誰もが果たすべき役割がある。食品安全の達成は、毒性学、微生物学、寄生虫学、栄養学、農学及び医/薬学と獣医学といった幅広い様々な分野からの専門知識を必要とする多部門の努力を必要とする。地域コミュニティ、市民団体や学校教育もまた、重要な役割を担っている。

 

事実10: 消費者は食品の安全対策について、十分な情報を得られなければならない。

人々は情報を得た上で、賢く、食品の選択をし、適切な行動をとらなければならない。人々は食品の表示等による情報を活用して、一般の食品の危険性や食品の安全な取り扱い方を知らなければならない。

 

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人類は従属栄養動物ですので、他の生物を食べなければ生きて行けません。73億にも増えた人類は、1つの地球上でまだまだ増え続けると推測されています。この報告の9)には、 全ての人々に食品を安全に保つための役割があることが述べられています。フードチェーン全体を理解し、自らの役割を果たしていることを確認することから始めましょう。WHOは、全ての人に図2の「安全に食べる5つの鍵」を使ことを要請しています。

 

参考文献:

1) WHO:食品安全の10の事実、2016年10月

http://www.who.int/features/factfiles/food_safety/en/

2)WHO:安全に食べる5つの鍵

http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/microbial/5keys/who5key.html

 

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