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  第46話「祝お正月,お雑煮とおみそ!」

 

 

 北海道大学名誉教授・日本食品分析センター顧問 一色賢司

一色先生の略歴

http://researchmap.jp/isshiki-kenji/

 

 

新年,明けましておめでとうございます。

今年のお雑煮は,いかがでしたでしょうか。 日本列島の各地に色々なお雑煮がありますね。農林水産省は図1のような調査結果を発表しています。

 

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小生は北九州で育ちました。お雑煮は,すまし汁の白もちでした。大学生になって,香川県高松市の親戚でいただいた「あん餅白みそ雑煮」(図1)にはビックリしましたが,美味しくいただきました。昨秋,香川県観音寺市を訪問しました。正月以外にも「あん餅白みそ雑煮うどん」を食べさせる店があるとのことでした。連れて行っていただき,再び美味しく、いただきました(図2)。

 

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1) お雑煮とおみそ

土地土地の産物ともちをひとつの鍋で煮た料理を雑煮と呼んでいます。「煮雑ぜ(にまぜ)」とも呼ばれていたそうです。ハレの食事、特にお正月の料理として伝えられています。全国各地で図1のように、各種各様のお雑煮が受け継がれています。宮中文化の影響が残る関西ではみそ仕立て、武家文化の影響が強い東日本はすまし汁が多いようです。みそも全国各地に様々なみそが受け継がれていますが、図3のように大きくは3種類のみそに分類されています。

 

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みその起源には、中国由来説と日本起源説の2つがあります。中国の「周礼」という古書物に「醤」(しょう)という文字があり、紀元前からさまざまな種類の「醤」が使われていたようです。「醤」という物は、穀物や魚、肉に塩と酒と麹を混ぜて熟成させたものです。我が国では、「大宝律令」にも「醤」の文字は記されています。縄文時代にもどんぐりを使ったみそらしきものがあり、後年の穀醤となったと考えられています。

奈良時代になると酢、酒の他、醤、荒醤などが作られていたようです。未醤(みしょう)「未だ醤にならないもの」が美味しいことが分かり、さらに改良されて未醤から未曾、味曾、味噌になったようです。蜜祖と書かれる方もおられるそうですが、本稿ではみそとしました。

 

2) みそは発酵食品

みそは、大豆、米、または麦を発酵、熟成さて作ります。昭和の中期までは、多くの家庭でみそは作られていました。その後、大量生産されるみそを家庭でも食べられるようになってきました。

大豆を煮たり蒸したりして、米こうじや麦こうじと塩を加えて混ぜ、そのまま半年から1年ほど熟成させたものです。みその種類によって、熟成期間は異なります。甘みそは比較的短く、辛口みそは長くなります。米みそと麦みそは、こうじが異なりますが、こうじを造ってからの製造工程は基本的に同じです。

豆みその場合は、製法が違います。大豆を水に一定時間漬けてから、圧力をかけて蒸し、潰し、それを丸めてみそ玉を造ります。そのみそ玉に、種こうじと香煎(大麦または裸麦を煎って粉末にしたもの)を混ぜたものを散布して製麹し、みそ玉こうじを作ります。みそ玉こうじを潰し、塩と塩水とを混合して熟成させて豆みそを作ります。

 

3) 微生物の連係プレー

 みそは,各種の微生物が働いて,次第に熟成し,旨さを増して行きます。麹の麹菌(Aspergillus oryzaeなど)により生産された酵素(プロテアーゼやアミラーゼ)が働いて、高分子であるデンプンやタンパク質が分解されブドウ糖、麦芽糖、ペプチドやアミノ酸になります。これらは,酵母や乳酸菌の栄養源にもなります。食塩により雑菌の繁殖が抑制され,耐塩性の乳酸菌Pediococcus halophilusなどが増殖し、乳酸などの有機酸が生成されpHが下がります。

pHが下がり、耐塩性の酵母Zysaccharomyces rouxiiなどが増殖し、糖分からアルコールや微量の有機酸、エステルを、アミノ酸から高級アルコールを生成し,次第に旨さや香りが強くなって行きます。かび,酵母そして細菌の連係により,美味しいみそができ上がります。

みそは日本人の食生活を支えてきた保存性の高い,栄養価の高い食品です。しかし,みそ汁にしたり,料理に使ったりすると,みそとしては希釈されることが多く,適切な管理が必要となります。祖先から伝わったみそを大切に受け継いで,上手に利用して,食生活をより豊かなものにしましょう。「あん餅白みそ雑煮うどん」のような美味しい,新メニューを開発されてはいかがでしょうか。

 

【 参考文献 】

1) 農林水産省:食材まるかじり お雑煮,aff,2011年11月

 http://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1101/spe2_01.html

2)農林水産省:お国自慢みそマップ,aff,2010年12月

 http://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1012/spe2_02.html

3)みそ健康づくり委員会:みその知識,http://miso.or.jp/knowledge/history

4)小熊哲也:醤油とみその微生物,モダンメディア,61(10), 298-304(2015)