株式会社 バイオ・シータ 食品細菌迅速自動検査システム DOX (DOX-60F DOX-30F) 一般生菌/大腸菌(群)を迅速に測定

You are here: Home > 食品衛生コラム >   第54話「耐熱芽胞菌による食中毒」

  第54話「耐熱芽胞菌による食中毒」

 

 

 北海道大学名誉教授・日本食品分析センター顧問 一色賢司

一色先生の略歴

http://researchmap.jp/isshiki-kenji/ 

 

 

 

2017年には,乳児がボツリヌス症で亡くなるという,いたましい事件が起こりました。ボツ
リヌス菌は毒性の強い毒素を作る細菌です。ボツリヌス菌は、図1のような耐熱性の強い芽
胞も作ります。ボツリヌス菌への対策は、第15話,第39話などを参考にしてください。
ウェルシュ菌やセレウス菌も芽胞を作る食中毒菌です。この夏も,これらが原因となった
食中毒の報告が表1のように続いています。芽胞形成食中毒菌の特性を理解して,食中毒
を防止してください。

 

ishiki541.jpg

 

1) 芽胞と耐熱性


十分に加熱して食中毒を防ぐことは,生活の知恵の一つです。「加熱したから大丈夫」と
か「菌が残っていても食べる前に加熱すれば良い」と考えて、加熱調理後に,室温で放置し
がちです。熱に強いウェルシュ菌やセレウス菌の芽胞がいると,食中毒を起こすことになり
ます。これらの菌は、特に環境の変化(高温、乾燥、栄養など)があると,芽胞という硬い殻
の構造物(図1)を作り始めます。芽胞になると栄養細胞によりも、煮沸や冷凍、乾燥、アル
コール消毒などへの抵抗性が高くなります。芽胞を加熱で死滅させるには、121℃で4分間
以上などという厳しい条件が必要です。環境が栄養細胞の生存に適した状態に変化すると
、芽胞は発芽して増殖を始めます。

 

ishiki542.jpg

 

2) ウェルシュ菌による食中毒


食品とともに飲み込まれたウェルシュ菌が腸管に到達すると,増殖を始め,芽胞を作る
時にエンテロトキシンという毒素を作ります(図2)。
この毒素により,下痢が起こります。ウェルシュ菌による食中毒は大量の調理をする給
食施設などで発生することが多く、給食病と呼ばれることもあります。100人以上の多数の
患者が発生する場合もあります。

 

ishiki543.jpg


カレーやシチュー、スープ、煮物など料理が原因食品として報告されています。ウェルシ
ュ菌は,酸素がない場所で増殖することが1つの要因です。加熱され煮沸により酸素が追
い出され、耐熱性のない菌は殺菌されます。ウェルシュ菌の芽胞があれば,加熱に耐えた
後,温度が下がれば,増殖に適した環境になります。放置され、温度が50℃以下に下がっ
たころから芽胞から発芽し始めます。45℃前後がウェルシュ菌の発芽には適しています。
加熱調理をズンドウのような大きな容器で行う場合は,冷却には工夫が必要です。真空
冷却装置が使えない場合には,小分けにして,冷却速度を大きくするなどの工夫が必要で
す。

 

2)セレウス菌による食中毒


嘔吐型と下痢型の2種類の食中毒に分けられます(図3)。
嘔吐型では食事をしてから1時間から6時間の潜伏期間で嘔吐や吐き気が起こります。
チャーハンなどの加熱調理された食品を長時間放置すると芽胞から発芽したセレウス菌が
増殖して毒素を産生します。この嘔吐毒は耐熱性ですので、再加熱しても食中毒を起こし
てしまいます。我が国のセレウス菌食中毒はほとんどが嘔吐型です。  
下痢型の場合は、セレウス菌が腸管内に到達して増殖し、芽胞を形成する時にエンテロ
トキシンを作り出すことで発症します。食べた人に下痢や腹痛などが起こります。この場合
、6時間から15時間の潜伏期間が必要であるとされています。

 

ishiki544.jpg


3)芽胞菌による食中毒の予防には


ウェルシュ菌もセレウス菌も環境、特に土壌中に広く分布しています。多くの食材から検
出されます。洗浄できる食材は、洗浄により土や汚れとともに洗い流しましょう。調理等を行
う清潔な作業を行う区域には、洗浄が終わった食材のみを持ち込むことをルール化する必
要があります。


裸の芽胞や水中に漂う芽胞は、種々の方法で殺滅することができます。食品に混入した
り、食品取扱い場所の汚れに付着したりすると殺滅は困難になってしまいます。「つけない
」「ふやさない」「殺す」を念頭において、芽胞菌による食中毒も未然に防止することを心が
けましょう。


加熱調理した食品はできるだけ早く食べるようにしましょう。保存する場合は迅速に10℃
以下に冷却して、菌の増殖に適した温度帯にいる時間をできるだけ短くする必要がありま
す。

 

寸胴のような大きな容器に入れたままで冷却すると温度が、なかなか下がりません。小
分けすることで、冷却速度を大きくすることができます。60℃以上で保温することも有効で
す。
加熱によって、芽胞を完全に死滅させるためには、121℃で4分間などの強い加圧加熱
が必要です。コッホの三段殺菌のように、加熱と冷却を3回繰り返すと発芽させた胞子を殺
すことができますが、食品に適用すると美味しさ等の品質に悪影響を及ぼしてしまいます。
芽胞を持つ食中毒菌もいることを忘れずに、食中毒の予防に努めましょう。

 

 

【参考文献】


1) 食品安全委員会:ウェルシュ菌食中毒、セレウス菌食中毒のファクトシート
http://www.fsc.go.jp/sonota/kikansi/29gou/29gou_3.pdf


2) 大阪府:食中毒菌は熱に強い?-セレウス菌、ウェルシュ菌食中毒について(2018年3月

http://www.pref.osaka.lg.jp/shokuhin/shokutyuudoku/netsu.html


3)小久保彌太郎編:現場で役立つ食品微生物、第4版、中央法規出版(2016)

 

« prev  |   top  |   next »

The standard download of CMSimple comes with English and German language files only.

Please don’t delete the "default" and "en" language files (default.php and en.php), as they serve as default fallback.

German language files are included because the German language user’s community is by far the largest.

MOモイスチャライザー

ダイキン工業が開発し、(株)バイオ・シータが発売する、世界初のフェイス・モイスチャライザー。

ヒアルロン酸を含んだ高保湿ミストが、人の肌を追いかけて保湿することができるので、ミストの方を向いていなくても「ながら保湿」ができる、画期的な美容家電です。

株式会社 バイオ・シータ

〒532-0011
大阪府大阪市淀川区西中島3-20-9-603

TEL: 06-6886-8204 / FAX: 06-6886-8224
E-Mail: dox@bio-theta.co.jp

Powered by CMSimple | Template by CMSimple | Login