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  第73話 「新型コロナウイルスについて」

 

 

 北海道大学名誉教授・日本食品分析センター顧問 一色賢司

一色先生の略歴

http://researchmap.jp/isshiki-kenji/ 

 

 


 図1は、米国国立衛生研究所NIHが撮影した新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真です。このウイルスの大きさは、1/10.000mm程度です。世界中の多くの国から、この感染症の被害が報告されています。世界保健機関WHOは、制御しうるとしながらもパンデミック(世界的な大流行)と言う言葉を使って警告を繰り返し行っています。

 2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス)感染症を上回る被害が出ています。国内でも、新型コロナウイルスによる死亡者が出ています。今回は、ウイルス、そして新型コロナウイルスについてお話します。



1)ウイルスとは


 生物の最小単位とされている細胞や自己増殖を行う器官を持たないので非生物とされる物質です。RNAあるいはDNAとして遺伝情報を持ち、感染し、取りついた宿主細胞を利用して増殖を行うことができることから、半生物や非細胞性生物と呼ばれることもあります。



 ギリシャ時代のヒポクラテスは病気を引き起こす毒という意味でウイルスと言う言葉を用いています。1892年にタバコのモザイク病は、細菌ろ過器で処理した液でも発病することが、イワノフスキーによって発見されました。動物の口蹄疫でも同様な現象が報告され、細菌よりも小さな病原体が存在することが認識されるようになりました。さらに、細菌にも感染するウイルス(バクテリオファージ)からDNAが検出され、ウイルスは遺伝情報を持つ非細胞性生物として認識されるようになりました。

 食品衛生分野では、ウイルスを微生物として取り扱う場合が多く、科学的な定義よりも、実践的な安全性確保を優先させています。



2)ウイルスの基本構造


 各種各様のウイルスが存在しており、それらの構造も多様性に富んでいます。基本的には、図2に示したいずれかの構造を持ち、表1のように分類されています。遺伝情報はRNAかDNAか、エンベロープを持つか、持たないかなどで分類されています。




  ウイルスの基本構造は、粒子の中心にあるウイルス核酸と、それを取り囲むカプシドと呼ばれるタンパク質で構成された粒子です。ウイルスのRNAまたはDNAとカプシドを合わせたものをヌクレオカプシドと呼んでいます。ウイルスによっては、エンベロープと呼ばれる膜など、ヌクレオカプシド以外の物質を含むものがあります。新型コロナウイルスはエンベロープを持ち、ノロウイルスは持ちません。アルコールにウイルスが抵抗性を示すの、エンベロープを持たないためだと考えられています。宿主細胞に感染できるウイルス粒子をビリオンと呼ぶことがあります。



3)新型コロナウイルス


 このウイルスは、コロナウイス科のSARSウイルス(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス)が変異したウイルスと考えられています。表1に示したように、RNAとエンベロープを持つウイルスです。コロナという名前の由来はギリシャ語のコロナ(王冠)であり、エンベロープの表面に存在する突起の形に似ていることです。ヒトの日常的な風邪の10~15%(流行期35%)はコロナウイルスが原因であり、冬季に流行のピークが見られます。過去に国際的かつ重大な感染症を引きしたことがあるSARSやMERS(中東呼吸器症候群)の原因もコロナウイルス科でした(表1)。
 図4に、病原体と人間と環境の関係を示しました。人間にとって、この3つが不利な状況になると発症し、重症化するリスクが高くなります。




 新型コロナウイルスの主な感染経路は、飛沫感染と接触感染であるとされています。感染する器官は呼吸器であり、深刻な肺炎を起こします。図5は、感染しないように、あるいは感染クラスターを発生させないようための避けるべき行動を示しています。多くの人が集まったり、密閉空間に閉じこもったり、近距離での会話をすることを避ける必要があります。

このウイルスの性質については、いまだ不明な点もありますが、食品は従来通りの衛生的な取り扱いで感染リスクを低くすることができます。食品そのものにより新型コロナウイルス感染症に感染したとされる報告はありません。食品や食事の配膳等を行う場合は、不特定多数の人と接する可能性があるため、接触感染に注意する必要があります。食器等についても同様です。



 1日でも早い収束と社会生活の正常化を願っていますが、このウイルスは人間と共存して行くことになると思います。図4の発症リスクが極小になるように、皆で知恵を出して、努力を続けて行きましょう。国民各位による新型コロナウイルスの理解と感染対策の当事者としての行動が大切です。

 昔から、「彼を知り、図6に食品分野で用いられる微生物制御方法を示しました。コロナウイルスは熱及びアルコールや次亜塩素酸消毒に弱いことが知られています。ノロウイルスは、アルコール消毒に抵抗性を示します。フードチェーンの全ての段階で、食品取扱者の体調管理や手洗い、手指の消毒、咳エチケットなど、通常の衛生管理が実施し、続けて行く必要があります。 新型コロナウイルス感染症の一己を知れば、百戦危うからず」言われているように、「新型コロナウイルスだったら、どのようにして人間に感染しようとするのだろうか」と考えてみることも必要ですね。



参考文献:


1)厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

2) 国立医薬品食品衛生研究所:新型コロナウイルス(COVID-19)に関する食品関連情報
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/microbial/2019-nCoVindex.html

3) 日本環境感染学会:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応について
http://www.kankyokansen.org/modules/news/index.php?content_id=328

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