第1話 製造環境と食品の検証 1&2
2008.05.20
食品への異物混入や食中毒、さらには偽装と、食品安全対策は緊急課題になっています。特に食中毒を出してしまったら大変なことになります。食品の製造には一般的衛生管理やHACCP等の安全対策をしていますが、それが効果を発揮して、食品そのものが最終的に安全に出来ているかを検査して証明することは重要です。検証は4種類に分けられます。
検証1. 製造環境の検証
工場や厨房の清掃洗浄をした結果、きれいになっているか。個人衛生で手洗いを行っているが、きれいに洗われているか。といったことを検証します。製造環境がきれいになっていれば、ゴミ、埃、細菌が、ゼロにはなりませんが、かなり少なくなっているわけですから、異物混入と食中毒の危険が激減することになります。
この検証の最も原始的なのは目視で、目で見てきれいかどうかを確認することです。しかし、細菌は目に見えませんし、汚れもわからない面がありますから、科学的に検査できれば安心です。そこで、ATP測定などの拭き取り検査、スタンプ検査といったもので、汚れを調べます。
対象は2つのカテゴリー、食品に接触する部分とそうでない所、に分けます。
食品に接触する部分というのは、ナイフ、まな板、ミキサータンクの内面、食品を直接置くコンベアベルトの表面、といったものです。これは汚れが最低レベルの必要があります。
これ以外の部分はたくさんありますが、その中でも、間接的に食品を汚染させる所を慎重に調べます。特に汚れているのが、ドアの取っ手やノブ、水道の栓、機械のスイッチ部分、冷蔵庫の引き手等で、これらが汚れていると、その汚染が多くの従事者に広がり、食品の汚染につながってしまいます。
また、製造環境の空気が汚れていると、落下し、食品の汚染になります。そこで、落下塵、落下菌の検査をします。
検証2. 食品そのものの検証
食品そのものが安全かどうか、直接検査します。これが検証の中で一番重要です。検証する食品は、3つのカテゴリーで、原材料、中間製品、そして最終製品です。
原材料の検証は、工場に納入になった時、温度を測定したり、目で見て傷みが無いか、臭いはどうかといった、原材料に合わせた検査をします。生鮮原材料と冷蔵冷凍原材料、乾物等、検査の方法がそれぞれ違いますので、効果的で素早く検査できる方法を選びます。納入時の検査は、検収場所で時間をかけて検査できません。そこで、製造に入る前までに、さらに慎重な検査を行うことも出来ます。主力となるのが細菌検査です。
細菌検査は、原材料、中間製品、最終製品、すべてに出来ます。細菌検査は、一般的に2日ほどかかります。この時間的余裕のある食品ならいいのですが、生鮮物等、すぐに製造に使う食材は、結果が出たときには既に出荷した後になることが一般的です。これでは間に合いません。しかし、同じサプライヤーから仕入れているのであれば、そう大きな変化は無いと思われますので、継続して、例えば毎日1検体を検査し続けていれば、遅ればせながら、安全確認になります。細菌検査は、食品の状態によって、安全確認のレベルが違ってきます。
例えば、牛乳の原乳は、トラック1台分のタンクで運ばれてきますので、サンプルを取り出して検査すれば、タンク全部の原乳の状態がわかります。しかし、肉や魚だと、何十何百ケースもある中から1ケースを選んで、その一部を調べて大丈夫だったとしても、その他がどうなっているかわかりません。
そこで、例えば、ひとつのロット番号から1サンプルを検査とか、百ケースでひとつ、といった形で抽出方法を決めて検査することになります。抽出が少なければ、安全確認の精度が低くなります。抽出を多くすれば精度は良くなりますが、コストがかかります。
ということで、細菌検査では、時間がかかるので、間に合わないということと、サンプル抽出が少ないと精度が落ちるという、2つの問題点があります。この二つの問題をクリアできるのが、細菌迅速検査システムです。Bio-Θの「DOX」は、画期的な迅速検査機です。
次回は、残り2種類の検証と、「DOX」の機能について、解説します。